憲法審査会での議論を見てみる
東京新聞:「7条解散」消えぬ疑問 「多数派が優位に」「何らかの制限を」:政治(TOKYO Web)
東京新聞が冒頭に述べている憲法審査会で議論されたっていうのは下の話かな。
それぞれの審査会で複数のトピックに関して複数人の意見交換がなされているのでわかりにくいが、第2回での大まかな流れをまとめてみる。
ちなみにこの時の参加者は以下。
首都大学東京教授 木村 草太君
弁護士 永井 幸寿君
防衛大学校教授 松浦 一夫君
参考人に対する質疑者
中谷 元君(自民)
奥野 総一郎君(民進)
斉藤 鉄夫君(公明)
大平 喜信君(共産)
足立 康史君(維新)
照屋 寛徳君(社民)
表現はHPから抜粋。
最初の木村氏の発言はまさに解散権についてまるママ述べているので、HPを参照。
ざっくりとまとめると、郵政解散のときも2014年の解散も「解散理由が明確でない」ことが問題であり、恣意的な解散と考えられる。世界的に見ると、解散に関して制限を課す方向で動いている(例、ドイツ イギリスでは明文化)
- 議会の解散には、①内閣と議会が対立した場合に主権者である国民に裁断してもらう機能、②国政選挙で問われなかった重要な争点が選挙後に新たに発生した場合に国民の意思を明確にするために国民投票の代替として実施する機能、の二つの機能があり、これらの場合になされる解散には大義があると言える。
ということで、木村氏は2つのアプローチを提案。一つ目は現行憲法のもとで、解散を宣言した日から、国会にてそれの説明を行う期間を設けるというもの。
もう一つは、憲法自体を改正して解散権の行使の条件の明文化。
まとめとしては党利党略による解散を避けるために制限を設けることが必要であると言うもの。
永井氏は緊急時の件に関してなので解散に関しては発言なし。
松浦氏は主に、緊急時に解散権が濫用されてはいけないという観点から解散権に対して発言。
異次元の被害規模が想定される南海トラフ地震や国家の中枢機能が麻痺する可能性のある首都圏直下型地震など、想定できない非常事態に臨機応変の対応を迫られた時、憲法の通常のルールでは対応できない場合について憲法上の制度が必要である。憲法条項の例外は憲法自体が定める他ないからである。日本の場合、憲法の例外を定めるべき事項の一つが、衆議院議員の任期延長と解散権の制限である。
上記の前提で考えて以下の問題提起。
別角度から。
永井氏と松浦氏は緊急事態の対応に関して反対の意見を述べている。どちらかというと松浦氏の解散への制限は「緊急事態における」という意味合い。確かに海外は戦争の歴史があり、いつ戦争になるかわからないという緊急事態が存在する。日本もある意味現状、北朝鮮絡みは緊急事態だとすれば上で解散権は制限される。なのだけど、それは緊急事態宣言をもって成立させないと。
中谷氏(自民)は解散にまつわるところで発言として以下を行っている。
木村氏に対しては
- 木村参考人から、解散の理由を明確にするために法律で解散の手続を縛るとの提案があったが、これは解散を阻止し得るものなのか。
これは解釈が難しい。木村氏は解散を手続きを設ければ理由なき解散がなくなるのではという提案だが、国会議員的に考えると理由なんぞなんでも作れるということを危惧しているのか。よくよく考えてみれば手続きで縛れば確かに、説明する時間はあるが、逆に言えばいわゆる政治空白の期間が長くなる。
その他の議員の発言などは基本的に立ち位置とか意見を求めるものであって、それに対しての回答と言うかたちでは記載されていないので割愛。
大平氏(共産)の発言が興味深いので取り上げ。